怒りの感情 「カリブの女・ユーマ」【原作】ラフカディオ・ハーン [おはなし]
「カリブの女・ユーマ」
【原作】ラフカディオ・ハーン
ラフカディオ・ハーンさんは今まで英米文学界ではあまり評価高くなかったそうです。でも近年その先見の明とか高く評価されだしたそうです。このカリブを舞台にした、奴隷が主人公の文学は画期的だったそうです。
物語はある老人のお話を墓地で聞く所から始まります。
お墓参りにきていた、ある老人と出会います。老人は語りはじめます。「このお墓はユーマのお墓だ。この島の人は彼女を忘れない」と。
この島はフランス領で当時奴隷制度がありました。ユーマは生まれながらのペロンネット夫人の奴隷でした。エメーという同じ年頃の娘がいました。ユーマはエメーと仲良しでした。ペロンネット夫人もユーマを娘のようにかわいがりました。
ユーマの母も奴隷でしたが、亡くなるときこう言いました。「辛い事があっても人の悪口をいったり、恨んだりしてはいけないよ」とやがてエメーが結婚すると、ユーマはついていき乳母となりました。ここで奴隷のガブリエルと出会います。
ある日、雨でずぶぬれになったエメーはそれが元で亡くなってしまいます。幼い娘のマイヨットをユーマに託しました。マイヨットはユーマをしたっていました。生まれてからいままでユーマは幸せを感じていました。
ガブリエルが結婚を申し込んできました。でも所有者の同意がいるのです。ペロンネット夫人はユーマを解放奴隷と結婚せせて自由に生きてもらうこと願っていました。今の社会制度でできる精一杯の自由だとおもったようです。 だから奴隷と結婚して奴隷として過ごすのに反対だったのです。ユーマは生まれてはじめて自分が奴隷であることを実感しました。ガブリエルが駆け落ちを提案したのを真剣に考えはじめました。 ユーマは土壇場で逃亡断念しました。母の遺言にもあり、今まで自分のこと思ってくれたペロンネット夫人・エメー・奉公先のエメーの旦那さん・マイヨットのことを思い思いとどまったんです。
フランス本国で革命が起きました。共和制でこれからはいい暮らしができるという情報がながれ人々はお祭り気分でした。ところが今度は、白人がこれを阻止しようとしているをいう情報がながれました。たちまち人々は「殺せ・殺せ」の大合唱となりました。「白人はみんな敵だ!白人に味方するのも同罪だ!」世論はそれ一色に染まりました。白人は恐怖に怯えていました。
やがて怒りにあふれた群衆がお屋敷に押し寄せ襲撃始めました。ユーマにはここの白人は家族でした。次々家族が殺害殺害されていきます。お屋敷にも火がつきました。幼いマイヨットを決して離さず、人々にたった一人立ち向かいました。「裏切り者」「白人にこびてる」とののしられても、ひるみませんでした。「この家族があなた達になにをしたんですか?!」「あなた達もいままで仕えていたのに手のひら返したような仕打ち恥ずかしくないんですか?」「不平不満への八つ当たりなんかして!」ユーマは被害者感情で怒りしかない群集にたった一人自分の信念を貫きました。
その数日後、政府が奴隷制度やめると発表しました。島の人達は冷静を取り戻し自分達のしでかした無意味な殺戮を思いました。
奴隷制度自体はたしかに非常に人権侵害のひどいものでしょう。 怒りがでても当然でしょう。 でもその怒りを一個人にむけていいのでしょうか?彼らになにができたのでしょう? 怒りに支配された群集の「殺せ・殺せ」の大合唱は恐怖を感じます。冷静に見ようとする人まで叩かれます。歴史上こういうのは無数にあるそうです。なかなか過去を教訓として、怒りをコントロールするのは困難なのでしょうか?
あらゆる怒りの対象の象徴にされるのはものすごい恐怖でしょう。それらの大多数の怒りの感情に逆うのはものすごい勇気がいるようです。
「世の中がどうかわろうとも、決してかわることのないもっと大切なものがある」
ナイスありがとうございます。本当に強い人て?人として守るものて?
怒りて? 考えさせられるお話でした。
by ayu15 (2008-05-25 20:10)