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鍛錬 [おはなし]

 

 

作者は忘れましたけど、本のなかにこういう短編があります。主人公は文面からすると、兄弟のようです。 興味深いのは2人で一つの台詞話しているんです。

1 体の鍛錬
「おばあちゃんはごつごつと骨ばった手なぼででぼくらをぶつ。」と兄弟は言います。他の人からも暴力うけています。痛くてないてしまいます。 これに対して兄弟のしたことは、痛みに耐えられるように体を鍛えようと決意したんです。御互い鞭うちあう・殴りあう・ナイフ突き立てるなどです。 人にぶたれると、「聖書に書かれている通りもう片方の頬をだすよ。さあぶって!」と。 それきいたおばあちゃんは言います。「お前達なんかその聖書だの頬だのと一緒に悪魔にさらわれてしまえ!」
こういうお話です。

2 乞食の練習
やぶれた汚い衣類を身にまとい裸足になり顔と手をわざと汚して、街頭でたってます。 進駐軍将校が通る時敬礼して、左手差し出します。硬貨一枚とチョコのかけらくれます。 ひとりの婦人が通りがかります。「かわいそうにね・・・。私にはあげられるものが何一つないのよ」彼女は兄弟の髪をなでました。 別の婦人が林檎二個 、また別の人がビスケットくれました。 また一人の婦人が通りがかり、「家にきなさい。仕事してくれたらスープとパンをあげます」と。兄弟は「ぼくらはおくさんの御用を足すために働く気はありません。あなたのスープもパンも要りません。」と。この兄弟はひとの反応観察するためにやっているというんです。婦人は怒っていってしまいます。兄弟は帰りに林檎・ビスケット・チョコ・硬貨を道端の草むらに投げ捨てました。  でも髪にうけた愛撫だけは棄てる事ができませんでした。 こういうお話です。

 

3 精神の鍛錬

冒頭から、いきなり、ひどい言葉が連発されます。それらは、人々から兄弟にむけられたものです。
 兄弟は向かい合い、御互い惨さを増す言葉を浴びせあいます。毎日およそ半時間ずつ鍛錬します。それから町にでて故意に人々の罵倒を誘います。そしてとうとうどんな言葉にも動じないでいられるようになったことを確認します。

以前において記憶に残っているのは、「私の愛らしい子!最愛の子!・・・」これら思い出すと兄弟の目には涙があふれます。でも今はだれひとりこういう言葉をかけてくれません。

兄弟は別のやり方で鍛錬を開始します。「私の愛らしい子・・・」幾度も繰り返し、言葉はすこしづつ意味うしない、言葉のもたらす痛みもやわらぐんです。 こういうお話です。

 

 

光事件をはじめてして、悲劇の連鎖が後たちません。辛い思いした人が、耐え切れず、踏み外してしまい、別の人にさらに大きな辛い思いさせてしまうんです。行き着く先は光事件のような残忍なものになっていきます。 この兄弟は、社会的にも認められず、誰も信用できなくて自分達だけでかかえこみ、乗り切ろうとしているのかも。 この兄弟が必要なのは、道徳よりも、広い意味での愛してあげる事、愛されてると感じさせてあげることなのかもしれません。


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